シリーズ物としての面白さを見せてきた『ベン・トー』9巻

 アニメも終わって少し落ち着いた時期の今作。シリーズも長くなり、これまで登場してきたキャラクターも増えてきたということで、登場人物の特徴を生かした話になっていたと思います。話の中で目立っていたのは表紙にも出ている真希乃と茉莉花で、特に真希乃は可愛すぎてヤバかったですね。それぞれのキャラクターの魅力がきちんと出ると物語は勝手に面白くなっていくんだなということがよく分かる一冊でした。ストーリーとしてはなんだかシリアスな方向に向かっていますが、読者を笑わせることだけは忘れてほしくないなぁと思うわけです。いや、十分笑えてるんですけれどね。

想像の斜め上どころか真上に向かう『僕は友達が少ない』8巻

僕は友達が少ない 8 (文庫J) 僕は友達が少ない 8 (文庫J)
著者:平坂読
販売元:メディアファクトリー
(2012-06-22)
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 前作では文化祭の前で話が終わってたんで今作はその続き、という訳で文化祭本編が始まるはずだったんですが、思いもよらなかった形で文化祭編は終わりました。多分、書き方からしてここまで7巻で書ききりたかったんだけど、7巻の構成的にはあの始まり方で初めてあの終わり方で締めるしかなかったんでこういう形になったんじゃないかなとか勝手に思ってます。

 後半は新キャラを絡めての隣人部の新しい展開ということで、まあ前巻暗示的に示した小鷹の行動がちゃんと書かれてしまったというか。やっぱこの行動はハーレムものとしては相当異端ですよね。想像していたののかなり上をいかれました。そして最後にはようやく小鷹が進む決意をしたということで、ラブコメディとして次巻からがかなり面白くなりそうです。

どこかフワフワとしていた『彼女を言い負かすのはたぶん無理』

彼女を言い負かすのはたぶん無理 (スマッシュ文庫) 彼女を言い負かすのはたぶん無理 (スマッシュ文庫)
著者:うれま 庄司
販売元:PHP研究所
(2010-11-11)
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 ライトノベルでは珍しいディベートもの。着眼点みたいなのはよかったと思うんですが、物語全体がなんだかフワフワしていて、落ち着きがなかったというか、ちょっとしっかりと読むことができませんでした。文章自体にも落ち着きがなかったですし、物語の展開もちょっと突飛すぎるかなぁといった感じです。各キャラクターももうちょっと作りこんで欲しかったなぁと思いました。特に最後の展開での桜井と橘については、何がしたいのかがちょっとよく分からなかったですね。