一気にクライマックス『ベン・トー』11巻

 前巻の終わり方からもう物語の終りが近いということはうすうす気づいていましたが、一気にクライマックス、最終章となりました。さすがに長期シリーズということで登場人物の思惑が絡まりあいまくっていて、特に佐藤と金城の複雑な感情というものは、読んでいてこっちの精神状態が不安定になるような危うさみたいなものがありました。そのへんを全て最終的に半額弁当争奪戦に集約し、そして解決まで持っていってしまういい意味でのこの作品ならではの強引さもあり、非常に楽しく、そして感慨深く読めました。

 大オチには少しもどかしさもありますが、もう1冊、エピローグ集のようなものが出るようなので、そちらに期待です。というか、この巻のエピローグは要らなかったんじゃないかなぁ……という気がしています。

最後の最後に脳みそをぶっ壊された『とある飛空士への誓約』4巻

 舞台はヴォルテック航空隊に移り、いよいよ“第二部”の開幕です。新たな仲間となる下士官達とも出会い、そして新たな戦いも始まり……と、正統派な盛り上がりの後、最後の最後の展開に脳みそをぶっ壊される感じがしました。読み終わってからとてもとてもテンションが上ってしまい、どうしようもない感じでした。脳みそをぶっ壊される思いをしたくない人は、本の“そで”を何回も確認してから本編を読むことをオススメします。

 それと、イリアがどうにも可愛くなりすぎてて困りますね……(笑)。新キャラのルルとララも、テンプレ的なキャラではありますが登場場所とのギャップがいい味を出しています。バルタとセシルのやりとり、と言うか関係もおもしろいですね。しかも物語の一つの核になりそうってのがまた、イイですよね。

残念な青春模様の『俺の青春ラブコメはまちがっている。』

 ひねくれすぎて瞳の濁った比企谷八幡が更生のために連れ込まれたのは、学校一の美少女・雪ノ下雪乃の在籍する“奉仕部”だった──。という、あらすじを読むともうそれだけではいはいラブコメねラブってコメるのねみたいな感じですが、コメはともかくラブる様子は皆無です。そういう残念感の中、じゃあ何が物語の本筋なのだろうかと考えると、地の文の一人称の主である八幡と、雪野を始めとした周りの残念な面子との残念なやりとりなのかなとも思いましたが、着地点が見えずふわふわふわふわしていました。それがウリなのかもしれませんが。ともあれ、とても、アニメ映えのしそうな作品だなぁと思いました。