MBP or MBA

今年もやります

 去年の『WWDC2012』で新しい『MacBook Pro』と『MacBook Air』が発表された後、こんなエントリを書きました。ちょうど1年前のエントリですね。

 このエントリが思ってたよりも需要があったみたいなので、味をしめて期待に応えて第二弾、2013年版の『MacBook』の選び方を書いておこうと思います。『WWDC2013』も開催されましたしね。「『MacBook』を使ってみたいけれど、どれを買えばいいのか分からない……」というMac初心者の方は必見ですよ。

 ちなみに、ここでのカスタマイズは『Apple Store』での購入(CTO)を考えています。

スペックの用語の説明

 まずはMacのスペックを決める上で欠かせない三つの要素について説明したいと思います。去年の記事のリライトになりますけれどね。去年は“作業場”に例えましたが、今年は“バーベキュー”に例えたいと思います。「なんじゃそれは」と思わず、とりあえず最期まで読んでみてください(笑)。

CPU
 パソコンの頭脳です。ここの性能が良いほど、すべての作業が早くなります。バーベキューで例えるなら“料理人”にあたります。腕の良い料理人とそうでない料理人とだと、バーベキューで肉や野菜を切るスピードが違いますよね。
メモリ
 パソコンの作業領域です。この容量が大きいほど、同時にたくさんの作業をこなすことができます。バーベキューで例えるなら“網”にあたります。網が大きければ大きいほど、同時に沢山の料理を作ることができますよね。
ストレージ
 パソコンの保存スペースです。大きければ大きいほど、たくさんのデータを保存することができます。バーベキューで例えるなら“クーラーボックス”にあたります。クーラーボックスが大きければ大きいほど、たくさんの食材を保存しておくことができます。

 あとは“グラフィックボード”ってのも性能に関わってきますが、まあそれについては追々述べます。

どれが大事?

 この中で一番スペックアップが実感できるのはメモリの増設です。たとえ料理人の腕が良くても、網が小さいと料理のできるスペースは遅くなってしまいますよね。CPUの強化も確かに効果的ではあるのですが、最近の高性能なCPUではその差を感じにくいと思います。その点、メモリは増設にそこまでお金もかからず、それでいてたくさんアプリケーションを開いた時のスピードは全然違います。“速くなる”というよりかは“遅くならない”んですよね。特にMacはメモリをいっぱい喰うということで有名なので(『OS X Maverick』ではマシになるという話もありますが)、できるだけたくさんのメモリを詰んだほうがいいでしょう。CPUのカスタマイズの優先度はその後になりますね。

 ストレージのHDDはメインマシンとして使うとしても500GBもあれば十分だと思います。動画編集などの容量を食う作業をする人は、外付けHDDを使ったほうが無難です。ノートパソコンである『MacBook』ならばなおさらです。最近の『MacBook』は『Thunderbolt』というインターフェースを備えていて、ここに専用の外付けHDDを繋げば、かなりのスピードでデータのやり取りをすることができます。また、HDDではなく“SSD”にするという手もあります。先程のバーベキューの例えで考えると、クーラーボックスの蓋に、どこになにが入ってあるかが書いてあって食材を非常に取り出しやすい、というのを想像してください。それがSSDです。HDDよりも割高になってしまいますが、これもスピードを非常に体感しやすいので、お金に余裕がある人は試してみてもいいでしょう。と言うより、最近の『MacBook』のほとんどはこのSSDが使われています。

 これらの要素は、『iMac』などのデスクトップパソコンや、Mac以外のパソコンを買うときにも参考になると思います。

一番の“買い”の『MacBook Air』13-inchと、その弟分の11-inch

 『MacBook』シリーズで今最も一番アツいのは、先日の『WWDC』で公開された『MacBook Air』(以下、『MBA』)の13インチモデルです。公称12時間のバッテリー、高速ストレージのSSD、フルサイズのキーボードと万能なマルチタッチトラックパッドと、Macとして使う分には不自由のないスペックが備わっています。値段もこなれているし、軽くて取り回しも楽ですし、まずMacを触ってみたいなという初心者の人にオススメです。もちろん、動画編集などの重たい処理をさせないのであれば、十分にパソコンに詳しい人にもオススメです。第4世代Intel CPU『Haswell』が乗ったことにより、駆動周波数が大幅に下がってもこれまでとほぼ同様の性能をキープしており、グラフィック性能は上がっているそうですよ。

 『Apple Store』でカスタマイズして購入するのなら、まずメモリを8GBに増設したほうがいいと思います。『MBA』は後から自分でメモリを増設することができないので、最初から限界まで積んでおいたほうがいいと思います。その上で予算に余裕があれば、SSDの容量を増やしましょう。特に、『iPhone』のバックアップを取ったり、『iTunes』に音楽をたくさん取り込んだりと、母艦的な役割を求めるのなら、128GBでは少し足りないと思います。256GB、512GBにすることも考えましょう。CPUのスペックアップの優先度はどうしても最後になっちゃいますね。

 また、『MBA』の11インチモデルでも基本的な考えは同じです。こちらのほうが持ち運びやすいことは確かです。ただ、トラックパッドのサイズが少し小さいこと、バッテリーが公称9時間しか保たないことには注意すべきですね。

“コンシューマー”向けな『MacBook Pro』13-inchと、文字通り“プロ”向けな15-inch

 『MacBook Pro』(以下、『MBP』)の13インチモデルは、『SuperDrive』(CD/DVDドライブ)や『Ethernet』を備えた“全部入り”の仕様とこなれた価格から、母艦として初めてMacを使う人にはオススメで、“Pro”と名前は付いていますが、“コンシューマー”向けだとよく言われています。実際、過不足のない優等生モデルだと思います。日本で一番売れている『MacBook』はこのモデルらしいです。

 そして15インチモデルは独立したグラフィックボードやハイスペックなCPUなど、文字通り“プロ”向けな仕様になっています。『MacBook』シリーズでグラフィックボードが独立になっているのは『MBP』の15インチモデルだけなので、描画性能などは他の『MacBook』とは比べ物にならないでしょう。その分お値段は張りますが、画像や動画編集をガッツリやってみたいという人にはオススメです。『Apple Store』で買うのなら、“1650×1080の高解像度非光沢ディスプレイ”という選択肢があるということをお忘れなく。

 これらのモデルは、ちょっと知識があれば、分解してSSDを換装したりメモリを増設したり、『SuperDrive』を取り出してそこにHDDを増設したりと簡単に改造できるので、最安モデルを買って自分でスペックアップをするのもオススメですよ。

真のプロ向けの『MacBook Pro Retina Display』15-inchと、あまりオススメできない13-inch

 『MacBook Pro Retina Display』(以下、『MBPR』)の15インチモデルは、『MBP』の17インチモデルとの交代で発売された製品ということもあり、一番スペックの高い『MacBook』となっています。『MBP』15インチと同じくCore i7のCPU、大容量のSSD、独立したグラフィックボード、二つの『Thunderbolt』端子、そして『Retina』のウリである2880×1600という超解像度と、快適なMac環境が保証されていると言ってもいいでしょう。その分、お値段もお高いものになっていますが、その価値はあると思います。このモデルのみ、CTOでメモリを16GBまでカスタマイズすることができます。

 そして『MBPR』の13インチモデルですが、これは正直あまりオススメはできません。15インチモデルと違い、オンボードのグラフィックス、8GB固定のメモリ、中途半端なCPU、初心者には持て余し気味なインターフェースと、コストパフォーマンスに優れた商品とは言い難いです。買うのならば、『MBP』としてではなく、『MBA』の延長で考えるといいと思います。

 ちなみに、“Retina”とは“網膜”を意味する英単語で、『Retina』ディスプレイはまあ簡単に言えば物凄く解像度の高いディスプレイってことです。Apple製品では『iPad』や『iPhone』にも使われていますね。

おわりに

 という訳で色々と説明してみましたが、いかがだったでしょうか。『MacBook』シリーズはApple製品のシリーズの中でも種類が多く、専門用語も多くて選ぶのがちょっと骨です。このエントリの内容がMacの選び方の全てではないですが、それでも、これから『MacBook』を買おうという人の一助になれば幸いです。

 このブログではこれからも、新しいMacが発売されたら選び方について書いていきたいなと思います。また、Macの最初の環境の鍛え方も紹介したいなと考えています。よければまたその時に、お付き合い頂きたいと思います。